バリヤーフイルムの種類と特性

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    環境汚染が大きな社会問題になり、バリヤー材として食品包装に広く使用されていたK(ポリ塩化ビニリデン、PVDC)コートフイルムが塩素を含んでおり、燃焼時に有害ガスやダイオキシンを発生させるということで敬遠されだした。そしてKコートフイルムに代わるものとしてPVAコートフイルムや透明蒸着フイルムへの置き換えが進んでいる。さらに、ナノコンポジットやハイブリッドコートなどの技術開発が進み、多くのバリヤーフイルムが登場してきた。そこで、最近の主要な食品包装用バリヤー材を紹介する。

ポリ塩化ビニリデン(PVDC)系バリヤーフイルム
   Kコートフイルムの歴史は古く、昭和40年代にセロハンやOPPにコートされて登場した。
  一般にはPVDC面に印刷、ラミネートして用いる。防湿性、ガス遮断性の両方に優れており、ダイオキシン問題が発生するまでは非常に多く使用されていた。使用が法律で禁止されているわけでもなく、高温焼却すればダイオキシンも発生しないので、不当に悪評価をうけているともいわれている。

ポリビニルアルコール(PVA,ビニロン)系
   KOPの代替として登場したのが高防湿OPPにPVA(ビニロン)をコートしたAOP(トーセロ)やXOP(ダイセル)である。KOPと違うところは、高湿度条件で酸素ガスバリヤー性が落ちることである。水もの、ボイルもの等の包装には適さない。
   ビニロンを二軸延伸したボブロンフイルム(日本合成化学工業(株))もあり、けずり節包装のバリヤー材として、OPP/O−PVA(ボブロン)/CPPなどの構成で使用されている。もちろん単体フイルムでは防湿性は全くない。

EVOH系
   EVOHはエチレンとビニルアルコールの共重合体で、クラレのEVOHフイルム(商品名:エバール、EVAL)が代表的である。二軸延伸エバールもある。ビニロンと同じで高湿度でバリヤー性は低下するが、ビニロンより程度は小さい。防湿性はない。OPP/EVAL/CPP、ON/EVAL/PEなどの構成で、けずり節、味噌など、酸素を遮断しなければいけない包装に使用される。
   EVOH樹脂はPE/EVOH/PE、Ny/EVOH/PE、PE/Ny/EVOH/PEなど共押出しで、深絞り包装によく使用されている。OPP/EVOH/OPP(二村化学)、ON/EVOH/ON(グンゼ、ユニチカ)などの共押出し延伸フイルムもある。

MXD(メチルキシリレンジアミン)系
   メタキシリレンジアミンとアジピン酸を重合させたものがMXDで、一般にはバリヤーナイロンと呼んでいる。
  ON/MXD/ONの構成でKONの代替としてよく使われている(グンゼ、ユニチカ、興人、三菱化学など)。酸素遮断性はKコートフイルム並である。防湿性はよくない。

アルミニウム箔
  アルミ箔には軟質と硬質があり、硬質はショートケーキの底材などによく使用される。食品包装用にラミネートして使用されるのは軟質である。一般には7μが使用されるが、ピンホールが心配されるので9μもよく使用される。アルミニウム箔の製造には多くのエネルギーを必要とし、しかも焼却時には残渣が残るので環境には優しくないといわれている。ガスバリヤー性、遮光性、防湿性はほぼ完全であるが、中身の見えないことが大きな欠点になるときもある。

アルミ蒸着フイルム
   プラスチックの表面にアルミニウムの蒸気を付着させたもので、PET、OPP、CPPなどの蒸着品はバリヤー性が向上するのでよく使用されている。特に蒸着PETのバリヤー性は優れている。アルミニウム箔よりもきれいな金属光沢を持ち、高級イメージを付与することができる。
   パスター加工やシーライト加工のように、任意の形で透明な窓を付与することもできる。

透明蒸着フイルム
   アルミの代わりにフイルム表面にシリカ(SiOx)やアルミナ(Al2O3)の蒸気を付着させたのが透明蒸着フイルムである。シリカ(酸化珪素)はガラスと同じ成分、アルミナは酸化アルミニウムで、両方とも透明な被膜を構成し、バリヤー性も向上する。
   最も大きな欠点は加工中に被膜にひび割れ(クラック)が生じ、バリヤー性が低下しやすいことである。そこで、シリカとアルミナの両方を蒸着したものや、アルミナを蒸着してからシリカ系物質をコートしたりして、クラックの影響を小さくしたものもある。
   基材フイルムとしてはPETが一般的で、ON、OPPの蒸着品も一部使用されている。

ハイブリッドコート系
   有機成分と無機成分を分子レベルで混合したものをOPPにコーティングしたもので(興人、ダイセルなど)、PVAコートのように酸素ガスバリヤー性が湿度の影響をうけにくいのが特徴である。90%RHでも十分にガス充填に耐える。しかし防湿性はよくない。一般にはOPPのコート品が多いが、PETやONにコートしたものもある。耐水性はよくないので、ボイル、レトルトはできない。

セービックス(住友化学工業(株))
  
有機高分子と無機層状化合物との混合物をコーティングしたバリヤーフイルムである。基材はOPP、PET、ONの3種類で、酸素透過度は低い。印刷、ラミネート適性にも優れている。防湿性もよいが、ボイルはできない。

ベセーラ(呉羽化学工業(株))
   「ベセーラ」はアクリル酸系樹脂をプラスチックフイルムに約1μmの厚みでコーティングしたもので、呉羽化学工業(株)の商品名である。高湿度でのガスバリヤー性に優れている。被膜は耐水性にも優れており、レトルトにも耐える。耐クラック性もよい。しかし防湿性は向上しない。レトルト可能という特性を全面に出して最近ようやく広がりをみせてきた。PETコート品が主体である。

<各種ラミネート用バリヤーフイルムの種類一覧表>

 

PVDC  
(透明)

PVA  
(透明)

EVOH  
(透明)

AL蒸着(不透明)

透明蒸着(透明)

MXD
(透明)

ハイブリッド(透明)

アル
(不透明)

セービックス(透明)

ベセーラ (透明)

バリヤー物質

PVDC共重合物

ポリビニルアルコール(ビニロン)

酢ビケン化物エチレン共重合(ビニロン系)

フイルム表面にアルミの蒸気を付着

フイルムにセラミック又は酸化アルミ蒸気を付着

バリヤー性ナイロン系樹脂

(メチルキシリレンジアミン)

有機系、無機系バリヤー物質

アルミニウム(AL)

特殊無機化合物と有機高分子とを微細構造化

アクリル酸系樹脂

製法、構成

基材フイルムにコートして使用

単体又は基材フイルムにコートして使用

単体または共押出しで使用

基材フイルムはPETCPPが代表的

基材フイルムはPETが代表的

ON/MXD/ONの共押出しが代表的

基材フイルムにコートして使用

アルミニウムを圧延

OPP,PET,ONにコート

基材フイルムにコート.PETが代表的

加工適性

加工によるバリヤー性の変化少ない

加工によるバリヤー性の変化少ない  
吸湿に注意

加工によるバリヤー性の変化少ない  
吸湿に注意

蒸着被膜の酸化、傷に注意

蒸着被膜のひび割れでバリヤー性が低下しやすい

加工によるバリヤー性の変化少ない

加工によるバリヤー性の変化少ない

加工によるバリヤー性の変化少ない

加工によるバリヤー性の変化少ない

加工によるバリヤー性の変化少ない

酸素ガス遮断性  

 

中バリヤー 温度、湿度による影響少ない

低湿度ではバリヤー性良好
湿度の影響大きい

低湿度ではバリヤー性良好
湿度の影響大きい

基材フイルムによるがPETは良好

ハイバリヤー
基材フイルムによるが
PETは良好

中バリヤー Kコートフイルムと同等

ハイバリヤー湿度の影響少ない.OPPが主流

ハイバリヤー  
温度、湿度の影響はない

ハイバリヤー 湿度の影響少ない

高〜中バリヤー(やや湿度の影響あり)

酸素ガス透過度の

ml/u・dayMPa

ダイセルKOP#1000  

80

AOP-SB20  

50%RH  10 80%RH  50 85%RH250

二村ECOB20  
50%RH
  50
80%RH100

PET蒸着品

  10-15

PET蒸着品 

5-10

ON/MXD/ON
#15

65%RH

ダイセルHOP-A#20

20%RH 30 80%RH 30

ラミ品  

7μ -1
9μ

ほぼ0

PETコート 23℃

0%RH1以下85%RH 29

PETコート

   
80%RH  5

防湿性

中防湿性

防湿性は期待できない

防湿性は期待できない

高防湿

高防湿

防湿性は期待できない

防湿性は期待できない

ほぼ完全な防湿性あり

Kコートより良

防湿性は期待できない

フイルム


 
g/u・day

ダイセルKOP#1000  

5

トーセロAOP-SB20
 
2.5

二村ECO-B20  

7.3

PET蒸着品

  1-2

PET蒸着品

  0.5-2

ON/MXD/ON #15


65%RH 100

ダイセルHOP-A#20
 

ラミ品
 

PETコート3
ONコート5
OPコート3

PETコート  

50

耐熱性(ボイル、レトルト)

KOPKONで90℃以下

基本的にボイル、レトルト不可

基本的に高温ボイル、レトルト不可

基本的に高温ボイル、レトルト不可

レトルトまでできるグレードあり

レトルトまでできるグレードあり

基本的にボイル、レトルト不可

ハイレトルトまで問題なし

ノンボイル

レトルトまでできるグレードあり

耐水性

水物包装

ボイル可

水物可

水に弱く高湿度でバリヤー性低下 熱水に溶ける

PVAよりは水に強いが、基本的に耐水性はない

フイルム構成による

あり

あり

水物可

あり  

水分活性0.9以下の包装に最

あり

金属探知器使用

使用可

使用可

使用可

条件で使用可

使用可

使用可

使用可

使用不可

使用可

使用可

電子レンジ使用

使用可

使用可

使用可

使用不可

使用可

使用可

使用可

使用不可

使用可

使用可

環境

塩素含有、低温燃焼でダイオキシン発生

環境問題なし

環境問題なし

環境問題なし

環境問題なし

環境問題なし

環境問題なし

箔製造と焼却に問題あり

環境問題なし

環境問題なし

主なフイルム メーカー(社名は略称使用)

ダイセル、 トーセロ
など

ボブロン(二軸延伸)AOPXOPなど

クラレ(単体フイルム)、二村化学(OPP共押)

尾池工業 トーセロ トーメタ など

尾池工業 凸版印刷 三菱化学 など

ユニチカ
興人
 
グンゼ
 
など

ダイセル  
興人
 
東レ
 
など

東海アルミ箔など

住友化学

呉羽化学

 


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