易開封性(直線カット性)フイルムの紹介

このページの最後に移動

はじめに

  プラスチックフイルムによる包装品で、解決できそうでできない大きな課題といえば、易開封性である。内容品保護性能を厳重にすればするほど開封しにくくなり、不便な包装品となる。開封しやすいようにすれば改ざん防止性が低下したり、破袋するようになる。今までに様々な技術が開発されているが、それは技術的に完全でなかったり、コストアップがネックになったり、用途がかぎられたりして、広く普及したものは少ない。
   包装食品が普及し始めた初期は、セロハンベースが主流であり、PEとラミネートしたセロポリは手で簡単に引き裂くことができ、開封性に苦労することはなかった。セロハンがプラスチックに置き換わった今も、粉末の薬などは、開封性のために、セロポリを使っているところもあるくらいである。基本的に延伸プラスチックフイルムの密封シール袋は手で開封できない。
  ここで述べる直線カット性フイルムを利用する易開封性付与の方法は、もっともオーソドックスなものであるが、消えることなく、広く利用されている方法の一つである。

カット方向性のあるフイルムとは

プラスチックフイルムは、未延伸の状態では長い分子がからみあって、たとえば毛糸をほどいて手で丸めたような状態になっている。一方向にひっぱると平たくなって伸びる。これが一軸延伸フイルムである。これを横方向にもひっぱると2軸延伸フイルムとなる。CPPの単体フイルムを手でゆっくり引き延ばしてみるとその様子がよくわかる。荷造りに使うPPひもは一軸延伸の典型的な応用例である。
   一軸延伸フイルムは、ひっぱった方向には分子が伸びきっているので、もうほとんど伸びないが、直角の方向には割り箸を割るように裂くことができる。この原理を利用したのが方向性のある、直線カット性フイルムである。延伸したままでは徐々にもとに縮もうとするが、引張った状態で熱をかけると、この温度以上にならない限り収縮しないようになる。これを熱固定するという。熱固定をしないのが熱収縮フイルム(シュリンクフイルム)である。

易開封性(方向性)フイルムの要求性能

@まっすぐに切れること
   一軸延伸フイルムはまっすぐに切れることが特徴となっているが、ラミネートの相手や加工方法で、必ずしも易引裂性が付与できるとは限らない。切り目が斜めに走ったり、途中で引っかかったりする。フイルム構成、包装形態、開封位置などを工夫し、実際の包装品で開封性確認をする必要がある。

A引き裂いたときにひげが出ないこと
   引き裂いた部分に短い糸状のひげが残ることがある。とくに一軸延伸PEによく起こる現象である。PPではこのような現象はほとんどない。

BできればVカットなしで使えること
   Vノッチなどの開封位置指定がなくてもどこからでも切れることが望ましいが、延伸フイルムを貼り合わせると手切れ性はなくなるので、Vノッチなどの開封口が必要となる。

Cラミネート強度が大きいこと
  一般にはベースフイルムとシーラントの間にサンドして使用されるので、ラミネート強度が低いとシーラントフイルムが伸びて抵抗が大きくなり、開封性に問題がでる。

   最近はフイルムエッジに微細な傷を入れて、エッジならどこからでも開封できるものもあるが、直線カット性はなく、フイルム構成や包装形態にも制限がある。

市販されている直線カット性フイルム

 各メーカーがそれぞれ工夫した直線カット性のフイルムを開発しており、その製品を紹介する。

東レ トレファンBO YT−12、YT−22
  東レのYTは数少ない横一軸延伸フイルムである。YTは横裂きは簡単にできるが、縦方向に裂くのは容易ではなく、二軸延伸OPP並の強さである。一般に袋は縦方向に自動製袋され、ピロー包装のように縦長の袋が多いので、縦に切るよりは横にカットした方が袋として使い勝手がよい。

トレファンBO

YT12

YT22

MD

TD

MD

TD

厚み

μ

40

25

破断強度

Kg/mu

5

35

5

 35

破断伸度

150

35

150

 35

コロナ処理

両面

両面

加熱収縮率

120℃15分

3.0

0

3.0

0

静ヤング率

Kg/mu

150

300

150

300

東洋化学 カラリヤンY Y−20、Y−30
   東レが横一軸のOPPなら、こちらは国内では唯一の横一軸HDPEである。主に延伸ベースフイルムとシーラントの中間にラミネートして利用される。粘着テープにも使用されている。

カラリヤンY

Y−20

Y−30

MD

TD

MD

TD

厚み

μ

20

  30

引張強度

Kg/cu

300-500

2500-3500

300-500

2500-3500

引張伸度

5-300

7-20

2-10

7-15

コロナ処理

両面

両面

加熱収縮率

120℃15分

1.7

9.6

1.7

9.6

引張弾性率

×10Kg/cu

20-30

40-100

10-30

50-100

このページの最初に移動このページの最後に移動

三井化学 ハイブロン、ノーブレン
   三井化学からはたて一軸延伸HDPE(ハイブロン)とたて一軸延伸PP(ノーブレン)が上市されている。
   一軸延伸HDPEは透明性がよく、ほとんど抵抗なく縦方向に裂くことができる。主な用途はひねり包装で、防湿セロハンに代わって、よく使われている。しかし、易引裂性用途のハイブロンもあり、一般にはPET/ハイブロン/LLDPEなどのように両面にベースフイルムとシーラントでサンドして使用される。直線引裂性は非常に優れているが、引裂部分にヒゲが出やすいのが難点である。
  一軸延伸PPはOPPに分類され、ノーブレン/CPPのように2層構成でピロー包装に使用されたり、ON/ノーブレン#20/LLDPE#130やPET#12/ON#15/ノーブレン#20/LLDPE#120などで洗剤詰替用スタンドパックに、また、単体ではおにぎりの包装に使用されている。各用途によって品番が異なるので、品種の選択が必要となる。たとえば、洗剤詰替用スタンドパックの用途には、添加剤を少なくした、ラミネート強度が大きく、安定したフイルムが必要となるので、他の用途のフイルムは使えない。下表に銘柄と性能をまとめた。PE、PPとも防湿性はあるが、酸素遮断性には劣る。

 

一軸延伸PP(ノーブレン)の用途と品種

ピロー包装用途

ASCM

片面コロナ処理

#20,#25

ベースフイルム用

ASC

両面コロナ処理

#20,#25

サンドラミ用

洗剤詰替容器用途

ASS

両面コロナ処理

#20,#25

サンドラミ用

おにぎり包装用途

AOM

片面コロナ処理

#20,#27

単体使用

 

直線カット用途の一軸延伸HDPE(ハイブロン)

両面コロナ処理

#20,#25

サンドラミ用

ASCM(20μ)、ASS(20μ)の性能

ノーブレン

ASCM

ASS

MD

TD

MD

TD

厚み

μ

20 

20  

引張強さ

Kg/10mm

5

-

5

-

伸び

70

-

70

-

コロナ処理

片面

両面

加熱収縮率

120℃15分

5.5

-

6.5

-

直線カット用ハイブロン(HDPE)の性能

ハイブロン

P−20

P−25

MD

TD

MD

TD

厚み

μ

20 

25  

引張強さ

Kg/10mm

6.3

-

7

-

伸び

50

-

50

-

コロナ処理

両面

両面

加熱収縮率

120℃15分

5

-

5

-

 

出光石油化学 ユニアスロンTB1000

   ユニアスロンTBはMXDというバリヤー性ナイロン樹脂を使用しているので、酸素ガス遮断性はONよりは優れており、脱酸素剤や窒素ガス充填包装に利用できる。出光石油化学の特許製品である。

ユニアスロン

ユニアスロン
TB1000

KON#15

MD

TD

MD

TD

厚み

μ

15

15+2〜3

破断強度

Kg/cu

2700

3000

2000

2200

破断伸度

120

110

90

110

破断弾性率

Kg/cu

35000

35000

24000

22000

熱水収縮率

95℃30分

2.5

3.0

2.5

0.7

酸素透過度23℃60%RH

cc/u24hrs.atm.

  15

  8

ヘイズ

  4.6

  5.0

ユニチカ エンブレムNC、エンブレットPC

ユニチカのNCおよびPCは、ONおよびPETのたて一軸延伸フイルムで、菓子包装から、液体包装、レトルトパウチなどに利用されている。

エンブレム

NC−15

ON−15

厚み

μ

15

  15

引張強度

Kgf/mu

23

25

25

26

引張伸度

100

100

95

90

引張弾性率

Kgf/mu

180

160

160

150

熱水収縮率

100℃5分

2.5

1.5

2.5

1.5

ヘイズ

  3.5

  3.0

 

エンブレット

PC−12

PET−12

厚み

μ

12

  12

引張強度

Kgf/mu

22

17

24

23

引張伸度

120

150

120

110

引張弾性率

Kgf/mu

420

380

450

450

乾熱収縮率

160℃15分

1.7

0.1

1.5

0.5

ヘイズ

  6.0

  4.5

このページの最初に移動このページの最後に移動

クリロン化成 カットラミナー

たて裂き性機能をもたせたNyとPEの共押出しフイルムで、チューブ状もフラット状もある。防湿性には劣るが、酸素ガスバリヤー性に優れたグレードもあり、Vカットを入れないでも手で切れることが特徴となっている。和紙を貼り合わせたもの、延伸フイルムとのラミネート製品も用意されている。

カットラミナー

CVM

CNM

構成

 CNy/PE

CNy/EVOH/PE

厚み

μ

  60

90

引張強度

Kg/cu

  320

300

酸素透過度23℃0%RH

cc/u24hrs

  1

65

 

直線カット性フイルムの用途と構成例

主な用途と構成例を列挙する。

・煎餅やクッキーのように割れやすいもの
ASCM/CPP
KOP/ASC/CPP
透明蒸着PET/PC/CPPなど

・棹菓子のように細長いもの
PET/TB/LLDPE
ON/PC/LLDPEなど

・小袋スープなど開封時にこぼれやすいもの
NC/LLDPE
TB/LLDPE

・液体スタンドパック(詰替用洗剤)
ON/ASS/LLDPE
PET/ON/ASS/LLDPE
ON/ASS/AL/LLDPEなど

・おにぎり包装
AOM

・レトルト食品
PET/PC/CPP、PET/NC/CPP
PET/TB/CPP、PC/AL/CPP

粘着テープ
横一軸PP、横一軸PE

※上記各フイルムの性能表は各メーカーのインフォメーシ ョンから抜粋・一部加工したもので、測定方法などは省略した。

※各フイルムの最新情報はそれぞれのメーカーに問い合わせてください。

 


このページの最初に移動

前のページに戻る