包装フイルムのラミネート方法

このページの最後に移動

 はじめに

プラスチックフイルムによる食品包装で、食品が要求する包装条件は様々であり、簡易包装を除いて、1種類のフイルムだけですべての包装条件を満足させることは非常に難しい。そこで、性質の異なるフイルムを貼り合わせて目的の性能を持たせることが一般的な技術である。たとえば、カレーレトルトパウチのフイルム構成は下のようになっている。

PET#12------------------------------ 
(印刷インキ・接着剤2〜5μ)
AL7μ-------------------------------
(接着剤2〜5μ)
耐熱CPP#60-------------------------------          

    レトルトパウチの構成

   

最外層のPET#12は印刷適性がよく、耐熱性があり、傷が付きにくく、光沢も優れている。
中間層のアルミニウム箔はガスバリヤー性、防湿性が抜群で、遮光性も完全である。さらに金属光沢があり、高級感を出して商品価値を上げている。最内層のCPPは耐衝撃性と耐熱性を改良したCPPで、熱でヒートシールしやすく、丈夫な袋にする熱接着性を担っている。この3つのフイルムがそれぞれの欠点を補い、それぞれの特徴を発揮して、ほぼ完全に近い包装フイルムとして使用されている(表1)。

表1.レトルトカレー用パウチの構成

包装性能

PET

#12

AL

7μ

耐熱CPP

#60

ラミフイルム

光沢

  

  

印刷適性

  

    

耐レトルト性

 ○

防湿性

  

   

ガス遮断性

  

  

ヒートシール

  

  

 ○

耐衝撃性

  

  

 ○

   このレトルトパウチの場合の貼り合わせ技術は、水を使わない有機溶剤系の接着剤で貼合わせているのでドライラミネートと呼ばれる。

ラミネート方法の種類と特徴

 ラミネート方法にも各種あり、選択を間違うと設計通りの性能を持った包装フイルムができなくなる。フイルムの選択と同時にラミネート方法も適切でなければいけない。

・ドライラミネート

接着剤を有機溶剤で適当な粘度に希釈してフイルムに塗布し、乾燥後もう一方のフイルムと圧着して貼り合わせる方法である。ポリエステル系接着剤、ポリエーテル系接着剤などがあり、耐熱性、耐薬品性、深絞り適性など、使用する接着剤の特性でラミネートフイルムの性能も決まる。

ドライラミネートの基本図

 


フイルム1 -------------------------
            (接着剤2〜5μ)
フイルム2 -------------------------

  ドライラミネート模式図

 

  ドライラミネートには、有機溶剤で希釈する一般的な方法と、有機溶剤を使用しないで、加熱によって適当な粘度に調節後塗布する無溶剤タイプがある。また最近ではエマルジョンタイプ(水の中に接着剤を分散した水性タイプ)もある。
   無溶剤(ノンソルベント)タイプはポテトチップ袋などに実績はあるが、特別なラミネーターを必要とし、内容品にも制限があるので用途が限られる。水性タイプは耐熱性、耐薬品性、対象フイルムなどに制限がある。オールマイティな有機溶剤タイプが包装フイルムとしては非常に優れている。

・押出しラミネート

   押出しラミネートには、フイルムの片面に溶融したPEをコーティングするポリラミと、フイルムとフイルムの間に溶融したPEを流し込むポリサンドラミがある。

 

フイルム1---------------------- 

PE押出しラミネート------------------------      

 押出しラミネート

 

 

フイルム1---------------------------
               (溶融したPE15〜20μ)
フイルム2---------------------------

ポリサンドラミネート

 

つまり、溶けたPEが接着剤の役割をしている。溶融したPEは一般には12〜15μが最低で、ポリコートやポリサンドラミネートはかならずPEを含んでいるので、耐熱性には劣る。PEの代わりにPPをコートすることもある。実際のラミネートでは、アンカーコート(AC)といって、非常に薄い接着剤あるいは接着助剤をフイルムに塗布することが多い。紙、厚手フイルムも問題なくラミネートできる。

・ホットメルトラミネート

   ドライラミネートは接着剤を有機溶剤に溶かして塗布するが、ホットメルトは接着剤を加熱しながら適切な粘度にして塗布する。乾燥工程が必要なく、冷却すればすぐに使用できる。機械設備も簡単ですむ。ラミネート以外にホットメルト樹脂をコーティングすることもよく行われる。耐熱性がない、強度も低いなどの欠点はあるが、ヨーグルトのアルミ蓋材のイージーピール材などによく使用されている。

 

フイルム1------------------------------------
(ホットメルト接着剤)
フイルム2------------------------------------

ホットメルトラミネート

 

・ウェットラミネート

水溶性またはエマルジョンタイプの接着剤を用いてラミネートする。たとえば、アルミ箔と紙を貼り合わせる場合、アルミ箔に接着剤を塗り、紙を貼り合わせてから乾燥する。事務所や家庭で糊で紙を貼り合わせるのと同じである。紙は水分をよく通すので貼り合わせ後でも乾燥できる。水を通さないプラスチック同士の貼合わせには適さない。爆発や人体への害をなくし、接着剤のコストも低いメリットがある。チューインガム、たばこの包装材、ウイスキーやビールのラベルにもよく使用されている。

 

アルミ箔--------------------------           
糊(接着剤)
紙-------------------------

ウェットラミネート

 

・ワックスラミネート

   考え方はホットメルトと全く同じであるが、ワックスの方が低温で溶融するのでラミネート品は耐熱性がない。アルミ箔/紙、セロハン/アルミ箔など、ひねり包装によるストライブ貼りに多く用いられている。

 

セロハン--------------------------
             (ワックス)
アルミ箔    ----------------

ストライブ貼りひねり包装紙

 

・サーマルラミネート

   たとえばOPPにCPPをラミネートする場合、同じPP樹脂なので、接着剤を用いなくても熱をかけて圧着するだけで接着することができる。これがサーマルラミネートである。

OPP--------------------------
CPP--------------------------

サーマルラミネートフイルム

表2.主なラミネート方法による性能比較

ドライ(溶剤)

押出し

ホットメルト

ウェット

サーマル

機械設備

大型/高価/精密

大型/高価/精密

乾燥工程なし、比較的小型

乾燥装置が割高

接着剤塗布工程なし

接着剤の種類

ポリエステル/イソシアネート系2液など

PEが接着剤代わり、アンカーコート(AC)を必要とすることが多い

EVA/PE系など

水溶性ビニロン、EVA系エマルジョンなど

なし(接着剤をあらかじめコーティングすることもある)

接着強度

非常に強い

強い

やや強い〜弱い

乾燥時やや強い

やや強い

耐熱性

レトルトまで可

ボイルまで

ノンボイル

ノンボイル

ノンボイル

耐薬品性

強い

薬品による

良くない

良くない

条件による

耐水性

強い

強い

強い

弱い

強い

耐油性

強い

やや強い

良くない

良くない

良くない

残留溶剤

危険性あり、ノンソルベントは良好

ACでわずかに危険性あり

安全

安全

安全

コスト

大量生産可

大量生産可

比較的安価

比較的安価

比較的安価

用途

ほとんどの用途

PEの存在によって限定

PEコートもある

用途は限定

コートものが多い

用途は限定

アルミ/紙の構成が多い

用途は限定

その他の特徴

どんなフイルムでも貼り合わせ可能

ポリエチレンの種類によってバラエティあり

アルミにコートしてヨーグルトの蓋材に

残留溶剤がない

工業用途が多い

 

このページの最初に移動

前のページに戻る