イージーピールオープンについて

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 はじめに
 
包装食品には欠かすことができない機能としてイージーオープン性(易開封性)がある。たとえば最近の缶詰のほとんどはプルトップオープンになっており、缶切りがなくても、手で簡単にあけることができる。びん詰めもねじ蓋かプルトップになっており、同様に栓抜きなどの道具なしで開封できるものが多い。
  袋入り包装食品の場合はシール部分に切り口(Vノッチなど)を入れたり、カット性のある包装材料を使用したり、あるいは、特別な工夫をして易開封性を付与しているものが多い。最近ではイージーピールフイルム同士でシールをした袋で、手で簡単に開封できる。生ハム、塩昆布、惣菜などに利用されている。
   さて、プラスチック容器の場合はどうか。まだカッターを用意しなければならないものもあるが、ほとんどは手で開けることができるイージーオープンになっている。
  材質別に採用されているイージーオープン方式を表1にまとめた。

表1.食品(容器)別イージーオープン方式

分類

包装材料

易開封性方式

リジッド
 

缶詰
びん詰

プルットップ
ねじ蓋、プルオープン

セミリジッド

プラスチック製容器

イージーピールオープン
 

 

フレキシブル


 

 

包装フイルム



 

Vカット(Vノッチ)付与
直線カット性フイルムの使用
テアテープ、カットテープ、カットラインなどの装着
面々シール袋(イージーピールフイルム同士でシールした袋)
アベックシール袋(イージーピールフイルムと異種フイルムとのシール袋)
その他


 
本ページではプラスチック容器におけるイージーオープン機能について、その仕組み、フイルムの種類、用途について考えてみる。

イージーピールフイルムに要求される性能
  
イージーピールフイルムに要求される性能を列挙すると、次の通りである。
1.無味、無臭、無毒であること。
2.機械適性がよいこと。特にヒートシール条件(温度、圧力、時間)の適正範囲が広いこと。
3.トリミング、カット性がよいこと。
4.ゼリーや液体包装では液中シールされることも多いので、きょう雑物シール性が良いこと。
5.寸法安定性がよいこと。逆に、張りを要求される場合は収縮追随性があること。
6.中身を見せたい場合は、透明性がよいこと。
7.最も大事なピール強度は500〜1500g/15mmの範囲で、用途別に設計できることが望ましい。
8.剥離強度が加熱殺菌条件、使用条件などの変化に対しても安定し、経時的にも変化しないこと。
9.耐内容性に優れていること。加熱殺菌時に内容物の油脂によりオレンジピール(柚肌)状にならないこと。
10.開封時、ノッキング、ピール音(ピッピッというパルス剥離音)がなく、ソフト剥離が要求される。
11.剥離面に糸引きや薄い膜が残るフェザリングなどが起こらず、剥離面がきれいなこと。
このほか、印刷フイルムなどとのラミネートによって、カール発生、ピッチ不良、包装時にはシール形状・シーラーの刃型との相性など、様々な要求項目が発生する。かならず実際のフイルム、容器、内容品、包装機械で包装し、さらに、経時変化を確認することが重要である。

イージーピールオープンのしくみ
  イージーピールオープンの機能を付与するためには容器または蓋材に何らかの工夫をする必要がある。完全密封対応として現在使用されている主なる方法は次の3種類である。

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1.凝集剥離タイプ
  
図1
を見てわかるとおり、シール層自身が破壊されて剥離するタイプで、シール材はふた材側、カップ側の両方に残る。
   ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)とポリエチレン(PE)など、異種のプラスチック同士は熱シールできない。この性質を利用して、たとえばランダムPP、PE、PSなどをある比率でブレンド(混合)したフイルムで容器とシールした場合、ミクロの部分で、同種の樹脂部分はシールされ、異種部分はシールされない。つまり、手で剥離できる程度の強度に設計できるのである。ブレンドする粒子の大きさやブレンド材の種類を工夫したいろいろなイージーピール材が開発されている。2層(サポート層/ピール層)または3層(サポート層/ピール層/シール層)からなるものが多い。このタイプの剥離は、ミクロでは凝集剥離であるが、人の目で見た外観は界面剥離に見える。軽包装からボイル・レトルトまで幅広く対応できる。

2.層間剥離タイプ
   共押出しで2層または3層からなるフイルムをつくり、サポート層とシール層の接着強度を低くしておき、容器とシールして開封する場合に、フイルムのサポート層とシール層から剥離するようになっているのが層間剥離タイプである(図2)。
   この場合、シール層・剥離層は非常に薄く、伸びの小さい樹脂であることが要求される。現在、このタイプのフイルムはPP系がほとんどで、容器もPP、PP複合になる。シール強度が安定し、レトルトにも耐えるものが可能である特徴を持つ。

 

3.界面剥離タイプ
  EVAなどの易接着性樹脂もイージーピール材として利用されている。EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)の酢酸ビニルの混合比率を上げていくと、熱で溶融しやすく、何にでも接着しやすくなる。このように、異種の樹脂を工夫して接着させ、フイルムと容器の剥離強度を調節させたものが界面剥離タイプである(図3)。界面剥離タイプは、シール条件、ボイル条件、使用条件、経時的な変化などで、強度変化が起きやすい。ノンボイル、軽包装タイプに多い。
   一般にはフイルムにイージーピール機能をもたせるが、一部には容器に工夫したものもあり、この場合、フイルムは、イージーピールタイプではなく、一般のものを使用できる利点がある。表2にこれら方式の特徴をまとめた。

 

表2.各イージーピール方式の性能比較
  凝集剥離 層間剥離 界面剥離
シール安定性
きょう雑物シール性
線シール対応
耐内容物性
剥離外観 △〜○ ○〜◎
レトルト対応 ×〜△
 

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イージーピールオープン用フイルムの種類と特徴
   イージーオープン用フイルムのメーカーは多いが、DIC、トーセロ、東レ合成フイルム、ジェイフイルムなどが各種タイプのフイルムを上市している。表3に代表例の一覧を、表4には市販品の構成例を示した。

表3.市販されている主要なイージーピールフイルム一覧

メーカー 商品名 商品記号 厚み 特徴用途 備考
DIC DIFAREN E3311T 30,35,50 充填豆腐の大定番.デザート、総菜.90℃ボイル LLDPE/LLDPE/PP
DIC DIFAREN E3700T 30,50 120℃レトルト.含気ボイル..米飯、デザート、総菜 LLDPE/LLDPE/PP
DIC DIFAREN E3800T 30,50 115℃セミレト.米飯、デザート、総菜.フランジ突起容器適 LLDPE/LLDPE/PP
DIC DIFAREN E3900T 30,50 120℃レト.含気ボイル..米飯、デザート、総菜.熱間適 LLDPE/LLDPE/PP
DIC DIFAREN E3200T 30 95℃ボイルデザート、チルド、水産加工品.ソフトな開封感 LLDPE/LLDPE/EP
DIC DIFAREN E1900T 30,50 120℃レトルト.耐油性、熱間シール適.米飯、豆腐、総菜 PP/PP/EP
DIC DIFAREN E1901T 30,50 125℃レトルト.熱間シール、耐油性.米飯、デザート、総菜 PP/PP/EP
DIC DIFAREN E3601T 30,50 120℃レトルト.米飯、デザート、総菜.オールマイティー LLDPE/LLDPE/EP
DIC DIFAREN 254N 25 PE用.90℃ボイル.透明.シール強度安定.真空深絞り蓋 PP/PP/LDPE
DIC DIFAREN E2154T 25 PE用.ノンボイル.透明.シール強度安定.真空深絞り蓋材 PP/PP/LDPE
DIC DIFAREN E7300T 30 PE用.90℃ボイル.耐油.面々シール可.真空深絞り蓋 LLDPE/LLDPE/EP
DIC DIFAREN E7800PET 30 A-PET用.開封性良.ノンボイル.水産加工品.医療用 LLDPE/LLDPE/PET
DIC DIFAREN E7810PET 30 A-PET用.薬剤バリア.透明性.ノンボイル.芳香剤.化粧品 LLDPE/LLDPE/PET
DIC DIFAREN E7900PLA 30 PLA用.ノンボイル.強度安定.透明性.カット野菜.漬物 LLDPE/LLDPE/PLA
トーセロ CMPS 008C 30 007に加え,ドライラミ可能.ゼリー等. 特殊PE/特殊PE/シール層
トーセロ CMPS 009 30 PVC,PS用,85℃,30分ボイル可,ゼリー,ヨーグルト 特殊ポリオレフィン単層
トーセロ CMPS 010C 50 発泡スチロール用,カップラーメン. PP/PP/シール層
トーセロ CMPS 011C 30 007の耐油性良,PP容器良,剥離音ソフト PE/EP/シール層
トーセロ CMPS 013C 30,50 PP容器用,120℃迄のレトルト可,豆腐,ゼリー PP/PP/シール層
トーセロ CMPS 016C 50 ガラス、アルミ容器用、PP,PE,PETも可 ソフト剥離
トーセロ CMPS 017C 50 115℃レトルト可、013Cの改良品 PP/PP/シール層
トーセロ CMPS 018C 70 PE,EVA,サーリン用、畜肉、魚肉類 ソフト剥離
トーセロ PET系 ABF64C 30 A-PET容器用イージーピール用フタ材(PET系) HSPET/AD/PE(処理面)
トーセロ CMPS 021C 30,50 HIPS用イージーピールフイルム、ノンボイル PP系/PP系/特殊PE
トーセロ CMPS 006 30 ノンボイル、汎用、ソフトピール PE系単層、PEサンド
トーセロ CMPS 007 30 汎用、90℃、30分ボイル PE系単層、PEサンド
オカモト ショウレックス アロマTP6 35,50 PP容器イージーピール、700-1000g/15mm巾 共押出しタイプ
オカモト ショウレックス アロマTP11 35,50 PP容器イージーピール。2400-2600gレト可 共押出しタイプ
オカモト ショウレックス アロマTP30 40 PP容器イージーピール、透明性良、エッジ切れ少. 共押出しタイプ
東レフイルム加工 トレファンCF 9501A 30-60 PP,PEの弱接着,ボイル,レト可,深絞りフタ  
東レフイルム加工 トレファンCF 9501B 30,40,60 PPの強接着,ボイル,レト可,PPカップフタ材  
東レフイルム加工 トレファンCF 9501C 30-60 PPの中接着,ボイル,レト可,PPトレイフタ材  
東レフイルム加工 トレファンCF 7601B 30,40 PP,PVC,AN,PET,PS用,ノンボイル  
東レフイルム加工 トレファンCF 7601C 30,40,50,60 PP中接着,ボイル・セミレト,デザートPPカップ  
東レフイルム加工 トレファンCF 9501E 30-60 レトルト用凝集剥離中接着タイプ、透明性良  
東レフイルム加工 トレファンCF 7601A 30,40,50 PPとのボイル用凝集剥離低接着タイプ  
東レフイルム加工 トレファンCF 7603B 30,40,50 ノンボイル汎用界面剥離タイプ(PP,PS,PVC,APET他) EVA系
ジェイフイルム VMX XB15FT 30,40,60 PP用標準タイプ、耐油、ゼリー、プリン、90℃ボイル可 PP用
ジェイフイルム VMX XB10FT 30,40 低シール強度、PP用、ゼリー、プリン、90℃ボイル可 PP用
ジェイフイルム VMX XR22FT 30 PPレトルト用、PE低シール強度(納豆)もあり PP用
ジェイフイルム VMX XR18C 30,50 耐熱性、高透明タイプ、レンジ、レトルトタイプ PP用
ジェイフイルム VMX ZH31FT 30 PS用、ゼリー、プリン、85℃ボイル可 PS用
ジェイフイルム VMX XB16C 30 XB15FTの透明タイプ、90℃ボイル PP用
ジェイフイルム VMX ZH41FT 30 XH31FTの耐低温安定良、冷菓、冷凍食品 PS用
ジェイフイルム VMX SMX Y-03 30、50 耐油性、シール強度弱、ヨーグルト、医薬品 PE用
ジェイフイルム VMX SMX Y-04 30、50 耐油性、シール強度03より弱、ヨーグルト、医薬品 PE用
ジェイフイルム VMX SMXZH42 30 透明タイプ、A-PET対応、調理済食品、海産珍味等 APET、PS、汎用
ジェイフイルム VMX SMXZH51 40 剥離痕跡出現タイプ、医療機器、医薬品 APET、PS、汎用
ジェイフイルム VMX SMXPY1000 50 紙PE容器フタ材用、低ピール用のPY2000もあり 紙PE容器用

 

表4.イージーピールオープンの代表的な構成例
フタ材フイルム 剥離方式 内容品例 カップ例
AL/HM 界面 ヨーグルト,納豆 紙複合,PS
紙/AL/EP 界面 カップ麺,菓子 PSP
MXD/ON/EP 層間,凝集 カップゼリー PP/EVOH/PP
ON/EP 層間,凝集 カップゼリー PP
PET/VMPET/EP 層間,凝集 ミニカップゼリー PP
PET/AL/EP 凝集,界面 ポーションミルク PS
ON/EP、PET/AL/EP 層間,凝集 レトルト,ボイル PP
PET12/EVOH/EP 層間,凝集 スライスハム 真空深絞シート
OPP/EP 層間,凝集 スナック菓子 PP
OPP/EP
PE/EP
層間,凝集 豆腐  PP 
PET/EP 界面 総菜,梅干,菓子  A-PET
HM:ホットメルト EP:イージーピールフイルムまたはコート

   EP用フイルムとして最も多いのはPP系、PPバリヤー共押出系であり、ヨーグルトなど紙系のカップではではホットメルト系が多い。食品以外では医薬品、医療器具、工業製品、日用雑貨などに使用されている。

現在流通しているカップ(容器)材質の種類列挙
  発泡PS、PS、HIPS、OPS、HDPE、PP、PP/EVOH/PP、PE/EVOH/PE、PAN、A-PET、PVC、紙複合、AL複合、紙/AL複合、コンポジット缶、各種深絞シートなど。最近では、環境問題から、PVCに代わってPET容器が増えている。

 


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