プラスチックと環境問題

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CONTENTS

 Q1:プラスチックは何からつくるのですか。
 Q2:プラスチックの種類にはどんなものがありますか。
 Q3:プラスチックは屋外に放置するとどうなりますか。
 Q4:プラスチックは埋め立てるとどうなりますか。
 Q5:生分解性プラスチックとは何ですか。
 Q6:プラスチックは燃やすとどうなりますか。
    また、環境に対する影響はありますか。
 Q7:ダイオキシンとはなんですか。
 Q8:プラスチックの材質識別マークとは何ですか。
 Q9:包装リサイクル法とはどんなものですか。
Q10:LCAとはなんですか。
Q11:プラスチックの資源はいつまでありますか。
Q12:環境保全に適した包装とはどんなものですか。


  プラスチックと環境の問題がクローズアップされて久しいですが、最近特に新聞紙上で、包装材のリサイクル、地球温暖化、ダイオキシンなどに関する記事が目立つようになり、そのたびにプラスチックの悪い面ばかりに焦点が当てられ、包装材がいっそう悪者になる傾向があるように思われます。もしプラスチックがなくなれば、あらゆる工業・流通が成り立たないといっても過言ではありません。経済の発展、快適で便利な生活に大きく貢献していることも強調しておく必要があります。ここでは、プラスチックと環境に関する理解を深めるため、基礎的な知識を質問形式でまとめました。

Q1:プラスチックは何からつくるのですか。
A:プラスチックのほとんどは石油から作られますが、一部天然ガスも利用しています。原油からガソリン、灯油、ナフサ、軽油、重油などに加熱分解され、さらにナフサから、エチレン、プロピレン、スチレン等のモノマーを分離精製あるいは化学反応を利用して製造します。これらのモノマーは常温でガス状または液状ですが、触媒等を添加して高圧や熱をかけると分子が長くつながったポリマーになります。プラスチックという言葉は可塑性(plasticity)をもつものという意味のギリシャ語からきています。なお、セロハン(パルプが原料)やアルミ箔(軽金属)はプラスチックではありません。

(エチレンモノマー)       (ポリエチレン)
  H  H            H   H  H  H  H
  | |   重合      |  | | | |
  C=C   →    ・・・−C−C−C−C−C−・・・
  | |            |  | | | |
  H  H            H  H   H  H  H

Q2:プラスチックの種類にはどんなものがありますか。
A:工業用途、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)、熱硬化性樹脂も含めると種類は非常に多くなりますが、包装用途としての主要なものは次の通りです。
・ポリエチレン(HDPE、LLDPE、EVA等)
 ポリエチレン袋、ごみ袋、ポリ容器、その他ラミネート用等。柔軟性、耐衝撃性、シール性に優れています。
・ポリプロピレン(PP)
 OPP、CPP、耐熱成型容器等。耐熱性、防湿性に優れています。
・ポリスチレン(PS、発泡PS)
 カップ麺容器、トレイ、成型容器等。バリヤー性、耐衝撃性に劣り、フイルムとしてはあまり使用されません。
・ポリ塩化ビニル(軟質、硬質PVC)
 業務用ラップフイルム、シート、成型容器、トレイ、その他工業用途、家庭用品に多数使用。強度、バリヤー性に特徴がなく、熱シールもしにくいので ラミネート用フイルムとしてはほとんど使用されません。
・ポリエステル(PET、ポリエチレンテレフタレート) 
 ペットボトル、包装用フイルムなど。強度、耐熱、耐寒性に優れます。工業的にも繊維、磁気テープ、絶縁材等に多数使用されています。
・ナイロン(Ny、ポリアミド---PA)
 ONやCNなどの包装フイルム、ロープ、繊維。強度、耐寒性、耐衝撃性、耐ピンホール性に特徴があります。
・ポリ塩化ビニリデン(PVDC)
 家庭用ラップフイルム、Kコートフイルムのコーティング剤などに使用されています。バリヤー性に優れます。
・ビニロン系(PVA、EVOH)
 プラスチックフイルム中最高のガスバリヤー性を持ち、ガス充填包装などに使用されています。
 このうち、最初の4種類は四大プラスチックと呼ばれ、容器包装、工業用などに多く生産されています。

Q3:プラスチックは屋外に放置するとどうなりますか。
A:プラスチックは屋外放置で太陽光線にさらしておくと、長い分子が切れてぼろぼろになります。特にポリプロピレン(OPP,CPP)は、プラスチックの中でも耐候性(耐光性)に劣り、1年ぐらい経つと手で揉んだだけで粉々になるくらい劣化します。ポリエチレンもポリプロピレンほどではありませんが、やはり劣化します。しかし、ポリエステルは1年後でもほとんど変化がなく、耐候性に優れています。このように、耐候性はプラスチックの種類によって異なります。

Q4:プラスチックは埋め立てるとどうなりますか。
A:プラスチックは光や熱(300〜400℃)で劣化しますが、埋め立てた場合、熱もかからず、光にもさらされないので急速に劣化することはないはずです。プラスチックの歴史が短いのでデータはありませんが、少なくとも半永久的にそのまま残ると思われます。

Q5:生分解性プラスチックとは何ですか。
A:野山などに散乱したプラスチックごみが紙・木材のように比較的短期間で土に戻れば環境や美観に大きな支障はないという考えがあります。放置された、あるいは、土中に埋められたプラスチックが、自然分解し、最終的には二酸化炭素と水になって、消滅するように工夫されたものが分解性プラスチックで、光で分解する光分解性と、微生物などの作用によって分解する生分解性があります。現在は生分解性プラスチックが未来のプラスチックとして有望視され、すでにいくつか実用化されています。しかし、価格的に10倍くらい高価である、性能的に劣る、中間生成物の安全性が不明等、本格使用には多くの課題があります。

Q6:プラスチックは燃やすとどうなりますか。また、環境に対する影響はありますか。
A:ほとんどの包装用プラスチックはよく燃え、PE、PP、PETなどは有害物質も悪臭も出しません。最終的には二酸化炭素(炭酸ガス)と水になります。しかし、PSは黒いススを大量に発生します。PVCとPVDCは刺激のある塩化水素ガスを出し、黒煙を出して燃えますが、自燃性がなく、炎から取り出すと自己消火します。
 プラスチックの燃焼による環境への影響として、高熱のため焼却炉を傷める、PVCとPVDCは塩化水素ガスを発生するので炉を傷めたり酸性雨の原因になる、二酸化炭素を発生するので地球温暖化を促進するなどが指摘されています。
 次表に各種材料の燃焼カロリーを示しました。一般の都市ゴミに比べてプラスチックの発熱量が高くなっていますが、近代的な都市ゴミ焼却炉は、高発熱による炉壁破損に対応しており、逆に、適当量のプラスチックが混入したほうが、よく燃え、助燃のための灯油や重油の使用量を減らすことができます。

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<燃焼カロリー表>

材料 発熱量(kcal/kg)
低密度ポリエチレン   11,140
高密度ポリエチレン   10,965
ポリプロピレン    10,506
ポリスチレン    9,604
ナイロン    7,371
ポリ塩化ビニル    4,315
ポリエステル    5,600
ポリ塩化ビニリデン    2,600
都市ゴミ  700-2,000
木材    4,500
木炭  3,000-4,000
石炭  5,000-7,500
灯油   10,500
紙類    3,868


 ポリ塩化ビニル(PVC)とポリ塩化ビニリデン(PVDC)には塩素が含まれており、焼却すると塩化水素ガスが発生します。これが焼却炉を腐食させたり、酸性雨の原因といわれました。しかし、都市焼却炉の多くは塩化水素などによるパイプ腐食防止や排ガス処理装置が整備されています。また、酸性雨の原因としては窒素酸化物の影響のほうがはるかに大きいと考えられており、一時ほどPVCに対する風当たりは強くなくなりました。
 つぎに地球温暖化についてですが、プラスチックの燃焼は大気中の二酸化酸素濃度を上昇させることになり、地球温暖化を加速させると考えられています。プラスチックの影響度を測る方法や評価に異論はありますが、疑いを軽減させるためにもリサイクルは必要と考えます。

Q7:ダイオキシンとはなんですか。
A:ダイオキシンとは、有機塩素化合物のポリ塩化ジベンゾパラジオキシンとポリ塩化ジベンゾフランを「ダイオキシン類」と総称し、多くの異性体があります。中でも2・3・7・8四塩化ダイオキシンは人類が作り出した最強の毒物といわれ、発ガン性その他の障害が報告されています。この猛毒ダイオキシンによる環境汚染が広がりつつあり、厚生省では今年の4月、ダイオキシンの法規制を発表したところです。ダイオキシンの発生源はいろいろありますが、もっとも多いのは塩素を含んだ一般ごみの焼却炉からといわれています。原因となる塩素は食品中の塩分やPVCから供給されるので、ここでもPVCを含めて、プラスチックを分別再利用するべきであるといわれています。ダイオキシンは本来自然界にはない物質で、時間が経っても分解しないで、主に魚介類の食事から人体に取り込まれるところはPCBとおなじです。広い意味でPCBもダイオキシン類です。

Q8:プラスチックの材質識別マークとは何ですか。
A:アメリカが業界の自主規制で制定していたのを法制化したもので、容器包装の材質識別のためのマークです。ヨーロッパでも広く使われるようになり、我国でもリサイクル法で、一部のペットボトルにこの識別マークをつけることを義務つけています。このマークは自由に使えます。

1.ポリエステル PET           
2.高密度ポリエチレン HDPE      
3.ポリ塩化ビニル PVC          
4.低密度ポリエチレン LDPE       
5.ポリプロピレン PP           
6.ポリスチレン PS            
7.その他の樹脂(積層フイルムも含む)

Q9:包装リサイクル法とはどんなものですか。
A:正式名称は「容器包装に係わる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」で、ビン、缶を含めたあらゆる容器や包装の廃棄物を、市町村が分別収集し、包装材の製造者、使用者等の事業者が再生利用することを義務付けた法律です。1995年6月に公布され、ガラスびんとペットボトルが97年4月から施行されており、その他のプラスチックは2000年から実施されます。資源の再利用、プラスチックごみの減量化、最終処分場の延命を図ることを目的としています。廃プラスチックは油化し、燃料として再利用することになっています。ペットボトルでは、市町村の分別収集が進んでおらず、まだ本格的には機能していません。

Q10:LCAとはなんですか。
A:Life Cycle Assessmentのことで、エコバランス、ライフサイクルアナリシスなどとも呼ばれます。環境への負荷の低減に資する製品としての評価を示します。つまり、ある製品が、生産から流通、消費、廃棄、再資源化、廃棄処理までの過程で、どれだけのエネルギーを消費し、環境にどれだけの影響を与えたかを分析・評価するものです。ISO14000Sや環境基本法で定義付けられており、その製品がどれだけ環境に優しいのかという評価の基準になります。このLCAによる裏付けがなければエコマークの表示や「地球に優しい」「環境に優しい」という表現は使えません。

Q11:プラスチックの資源はいつまでありますか。
A:ずいぶん前に石油はあと20年しか持たないといわれましたが、20年経ってもあと20年とか40年とかいわれています。これは油田開発や石油採掘技術の進歩によるものです。現在ではあと40年ぐらいといわれています。石油がだめなら石炭、天然ガスも使えます。動植物油脂、微生物を利用して農産物などからもプラスチックができる可能性があります。

Q12:環境保全に適した包装とはどんなものですか。
A:包装コストの負担を大きくしないためにも、環境負荷低減のためにも、次のことに留意したいものです。
・LCAを考慮してフイルムの材質を決定、全体の厚みも減らして軽量化する。容器をフイルムに変更する。
・最低限必要な商品保護機能は備えるが、過剰な高機能化は避ける。包装食品の主役はあくまでも食品です。
・材質は分別しやすい、リサイクルに適したものにする。また識別マークもつける

 


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