食品衛生法によるプラスチック容器包装の衛生規格

    スーパー、生協、問屋などから食品メーカーに対して、使用している包装材料の安全証明書を提出するように求められるときがある。これは厚生省告示20号などによる食品衛生法で定められた試験に合格しているかどうかの確認を意味する。この確認には公的機関に適合試験を依頼し、適合しているという成績書を提出することになる。我が国では、これに合格しているものだけが安全な包装材料として食品の包装に使用してもいいことになっている。 昭和57年の厚生省告示20号で樹脂別に衛生規格が定められ、平成6年(厚生省告示18号)にはポリカーボネートとポリビニルアルコール製器具および容器包装の規格が追加され現在に至っている。
   以下に、食品衛生法によって定められた樹脂別衛生規格を列挙する。もちろん試験方法についても定められているが、ここでは省略した。基本的には食品に接触する内面部分の検査だけでいいが、表面、中間層、インキ、接着剤の安全証明書まで要求されることもあるので、できるだけそろえておくようにしたい。一般にはフイルムメーカーなどが取得している成績書を添付することが多い。

(1)一般規格

試験項目

100℃以下の使用

100℃を超える使用

◎材質試験
 カドミウム
 鉛

単位:PPM以下
100
100

◎溶出試験
   (溶媒及び溶出条件)
重金属  4%酢酸
     60℃、30分
      95℃、30分
過マンガン酸カリウム消費量 水
     60℃、30分
       95℃、30分

PPM以下





10

PPM以下






10

(2)個別規格
  樹脂別に規格が定められており、樹脂の種類および規格の内容は次の通り。なお、個別規格が定められていない樹脂は上記の一般規格に従う。

a.ホルムアルデヒドを製造原料とする合成樹脂製の器具又は容器包装

試験項目 (単位:PPM以下)

100℃以下の使用

100℃を超える使用

◎材質試験
   カドミウム
  鉛


検出せず
検出せず

◎溶出試験
    (溶媒及び溶出条件)
重金属  4%酢酸
  60℃、30分
   95℃、30分
蒸発残留物 4%酢酸
   60℃、30分
フェノール
ホルムアルデヒド

PPM以下





30
40

PPM以下
 
 

 
 
30
40

b.ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装

試験項目 (単位:PPM以下)

100℃以下の使用

◎材質試験
   カドミウム
   鉛
ジブチルスズ化合物
クレゾールリン酸エステル
塩化ビニル

単位:PPM以下
100
100
100
1000

◎溶出試験
   (溶媒及び溶出条件)
重金属  4%酢酸
 60℃、30分
蒸発残留物
 油脂及び脂肪性食品 n-ヘプタン
      25℃、60分
 酒類 20%アルコール
      60℃、30分
 上記以外の食品で
 PH5を超える食品 水
     60℃、30分
 PH5以下の食品4%酢酸
     60℃、30分
過マンガン酸カリウム消費量 水
     60℃、30分

単位:PPM以下
 


150

30


30

30

10

c.ポリエチレン及びポリプロピレンを主成分とする合成樹脂製容器又は容器包装

 試験項目

100℃以下の使用

100℃を超える使用

◎材質試験
  カドミウム
  鉛

(単位:PPM以下)
100
100

(単位:PPM以下)
100
100

◎溶出試験
   (溶媒及び溶出条件)
重金属 4%酢酸
  60℃、30分
   95℃、30分

PPM以下


PPM以下



蒸発残留物
  油脂及び脂肪性食品 n-ヘプタン
      25℃、60分
  酒類 20%アルコール
      60℃、30分
   上記以外の食品で
  PH5を超える食品 水
      60℃、30分
      95℃、30分
   PH5以下の食品 4%酢酸
      60℃、30分
      95℃、30分
 
 
150
 
30


30
 
 
30
 

 
 
30 

 

 

30
 
 
30 

過マンガン酸カリウム消費量 水
      60℃、30分
      95℃、30分
 
10 
 
 
 
10

d.ポリスチレンを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装

試験項目

熱湯用発泡PS

その他のPS

◎材質試験
 カドミウム
 鉛
  揮発性物質
    総揮発性成分
     スチレン
     エチルベンゼン

PPM以下
100
100

2000
1000
1000

PPM以下
100
100

5000

◎溶出試験
  (溶媒及び溶出条件)
重金属  4%酢酸
    60℃、30分
蒸発残留物
   油脂及び脂肪性食品 n-ヘプタン
      25℃、60分
   酒類 20%アルコール
      60℃、30分
上記以外の食品で
  PH5を超える食品 水
   60℃、30分
   PH5以下の食品 4%酢酸
   60℃、30分
過マンガン酸カリウム消費量 水
 
60℃、30分

単位:PPM以下
 




240

30


30

30

10

e.ポリ塩化ビニリデンを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装

  試  験  項  目

100℃以下の使用

100℃超える使用

◎材質試験
  カドミウム
   鉛
   バリウム
   塩化ビニリデン

単位:PPM以下
100
100
100

◎溶出試験
     (溶媒及び溶出条件)
重金属  4%酢酸
     60℃、30分
      95℃、30分









蒸発残留物
   油脂及び脂肪性食品 n-ヘプタン
      25℃、60分
   酒類 20%アルコール
      60℃、30分
   上記以外の食品で
    PH5を超える食品 水
      60℃、30分
      95℃、30分
    PH5以下の食品 4%酢酸
      60℃、30分
      95℃、30分

 

30

30


30


30

 

30





30


30

過マンガン酸カリウム消費量 水
      60℃、30分
      95℃、30分

10


10

f.ポリエチレンテレフタレートを主成分とする合成樹脂製器具又は容器包装

  試  験  項  目

100℃以下の使用

100℃を超える使用

◎材質試験
カドミウム


100 PPM以下
100

◎溶出試験
            (溶媒及び溶出条件)
重金属  4%酢酸
   60℃、30分
   95℃、30分
アンチモン 4%酢酸
   60℃、30分
   95℃、30分
ゲルマニュウム 4%酢酸
   60℃、30分
   95℃、30分

PPM以下



.05



.

PPM以下






.05


.

蒸発残留物
   油脂及び脂肪性食品 n-ヘプタン
      25℃、60分
   酒類 20%アルコール
      60℃、30分
   上記以外の食品で
  PH5を超える食品 水
      60℃、30分
      95℃、30分
   PH5以下の食品 4%酢酸
      60℃、30分
      95℃、30分



30

30


30


30



30





30


30
過マンガン酸カリウム消費量 水
     60℃、30分
     95℃、30分

10


10

g.ポリメタクリル酸メチルを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装

  試  験  項  目

100℃以下の使用

100℃を超える使用

◎材質試験
カドミウム


100 PPM以下
100

◎溶出試験 (溶媒及び溶出条件)
重金属 4%酢酸
   60℃、30分
  95℃、30分

PPM以下

PPM以下


蒸発残留物
  油脂及び脂肪性食品 n-ヘプタン
      25℃、60分
   酒類 20%アルコール
      60℃、30分
   上記以外の食品で
    PH5を超える食品 水
         60℃、30分
         95℃、30分
    PH5以下の食品 4%酢酸
    60℃、30分
        95℃、30分


30

30


30


30


30





30


30
過マンガン酸カリウム消費量 水
    60℃、30分
    95℃、30分

10


10
メタクリル酸メチル 15 15

h.ナイロンを主成分とする合成樹脂製器具又は容器包装

  試  験  項  目

100℃以下の使用

100℃を超える使用

◎材質試験
カドミウム


100 PPM以下
100 

◎溶出試験
     (溶媒及び溶出条件)
重金属  4%酢酸
  60℃、30分
   95℃、30分

PPM以下


PPM以下



 1

蒸発残留物
  油脂及び脂肪性食品 n-ヘプタン
      25℃、60分
   酒類 20%アルコール
      60℃、30分
   上記以外の食品で
    PH5を超える食品 水
      60℃、30分
      95℃、30分
    PH5以下の食品 4%酢酸
      60℃、30分
      95℃、30分


30

30


30


30




30







30


30

過マンガン酸カリウム消費量 水
    60℃、30分
    95℃、30分

10


10
ε−カプロラクタム 15 15

i.ポリメチルペンテンを主成分とする合成樹脂製の容器又は容器包装

  試  験  項  目

100℃以下の使用

100℃を超える使用

◎材質試験
   カドミウム
  鉛


100 PPM以下
100

◎溶出試験 (溶媒及び溶出条件)
重金属  4%酢酸
   60℃、30分
   95℃、30分

PPM以下


PPM以下


蒸発残留物
  油脂及び脂肪性食品 n-ヘプタン
      25℃、60分
   酒類 20%アルコール
      60℃、30分
   上記以外の食品で
     PH5を超える食品 水
       60℃、30分
       95℃、30分
     PH5以下の食品 4%酢酸
       60℃、30分
       95℃、30分


120

30


30


30


120





30


30
過マンガン酸カリウム消費量 水
       60℃、30分
     
95℃、30分

10


10

j.ポリカーボネートを主成分とする合成樹脂製の容器又は容器包装

  試  験  項  目

100℃以下の使用

100℃を超える使用

◎材質試験
   カドミウム
  鉛


100 PPM以下
100

◎溶出試験
           (溶媒及び溶出条件)
重金属  4%酢酸
  60℃、30分
   95℃、30分

PPM以下


PPM以下



蒸発残留物
  油脂及び脂肪性食品 n-ヘプタン
      25℃、60分
   酒類 20%アルコール
      60℃、30分
   上記以外の食品で
    PH5を超える食品 水
      60℃、30分
      95℃、30分
    PH5以下の食品 4%酢酸
      60℃、30分
      95℃、30分


30

30


30



30



30





30


30

過マンガン酸カリウム消費量 水
    60℃、30分
    95℃、30分

10


10

k.ポリビニルアルコールを主成分とする合成樹脂製の容器又は容器包装

  試  験  項  目

100℃以下の使用

100℃を超える使用

◎材質試験
カドミウム


100 PPM以下
100

◎溶出試験
          (溶媒及び溶出条件)
重金属  4%酢酸
   60℃、30分
   95℃、30分

PPM以下


PPM以下



蒸発残留物
   油脂及び脂肪性食品 n-ヘプタン
      25℃、60分
   酒類 20%アルコール
      60℃、30分
   上記以外の食品で
  PH5を超える食品 水
   60℃、30分
   95℃、30分
   PH5以下の食品 4%酢酸
   60℃、30分
   95℃、30分



30

30


30


30


30






30


30

過マンガン酸カリウム消費量 水
   60℃、30分
   95℃、30分

10


10

(注意)上記個別規格の各樹脂を主成分とする合成樹脂製の器具または容器包装とは、基ポリマー中の各樹脂の含有率が50%以上のものをう。

 これらのほか
  紙、布では蛍光染料を検出してはならない(環食第244号)
  紙および合成樹脂ではPCBは5ppm以下であること(環食第442号)
などの衛生基準が定められている。
  食品衛生法ではガラス製、金属製、ゴム製容器包装についての衛生試験と規格も定められているが、本号では省略した。現在有効な厚生省の省令、告示を以下に示した。

(食品・添加物等の規格基準)
・厚生省告示第20号(昭57.2.16)
・厚生省告示第84号(昭61.4.1)
・厚生省告示第85号(昭61.4.1)
・厚生省告示第230号(昭63.8.27)
}
・厚生省告示第18号(平6.1.31)

(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)
・厚生省令第17号(昭54.4.16)
・厚生省令第35号(昭58.8.22)
・厚生省令第29号(昭60.7.8)
・厚生省令第55号(平2.1.21)
・厚生省令第45号(平10.3.30)

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