包装フイルムのトラブル(フイルム加工編)

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  はじめに

 プラスチックフイルムによる食品の包装は、昭和40年代初めから本格的に始まり、科学技術の進歩、経済の成長とともに順調に拡大し、30年を越える長い歴史を持つようになった。それに伴い、包装技術は世界でも超一流と言えるまでに発展した。しかし、フイルムメーカー、コンバーター、食品メーカーなどの業種や規模を問わず、いまだに包装に関するトラブルは絶えないのが現状である。すぐに解決できない根本的な問題もあれば、包装技術、社会状況が刻々と変化するため、その都度原因も対策も新たな観点から対応することが迫られることもある。一方、ちょっとしたヒントがあればすぐに解決することも多い。本稿では、ほんの一部の例しか記せないが、このような基本的かつ頻繁に発生するトラブルとその対策について考えた。その1として、包装フイルムと印刷加工時に起因するトラブルについて述べる。食品メーカーにとっては包装時のトラブル解消が第一であるが、包装フイルムの製造時におけるいろいろな不良発生についても理解しておくことは包装時のトラブル解決に役立つものと思われる。

フイルムに起因するトラブル

・フイルムに厚薄(厚みのバラツキ)がある

 比較的厚薄の多いフイルムはPE系であるが、OPP、CPP、PET、ONでも厚薄はある。厚薄が原因で印刷やラミネートでシワが入ったり、スリッター時に巻の硬さがばらつくなどの現象がでる。巻取としては紙管ずれ、巻ずれ、紙管つぶれなどが生じる。自動包装時ではフイルムが蛇行する、シールがばらつく、シワが入るなどの事故につながる。ラミネートされてしまったフイルムではどのフイルムに厚薄があったのかを確認することは非常に難しい。貼り合わせる前の単体の状態でチェックすることが必要になるが、印刷やラミネートではかなり大きな厚薄でも何事もなく加工できることから、事故になって初めてフイルムの厚薄が原因とわかることが多い。食品包装用フイルムの厚みのばらつき範囲についてJIS規格(K6782Z1714など)では±10%付近となっているが、一般的には少なくとも5%以下でないと何らかの不具合が生じやすい。

・フィッシュアイがある

   包装フイルムはペレット状の樹脂を加熱し、スリットから押し出して薄膜状にするが、とけずに残った樹脂粒がフイルムに混入するとフィッシュアイ状の異物となる。樹脂粒がフイルムから飛び出すことはないので、ほとんどの場合品質上の問題はないが、外観が損なわれるのでクレームとなりやすい。フィッシュアイの数と大きさが問題であるが、一つでも不可という厳しい用途もある。PE系シーラントで発生例が多い。また、アルミ構成など不透明な場合は問題にならないこともある。

・異物混入

   異物混入では毛髪と虫がもっとも嫌われる。どんなに注意しても完全に防止することは難しく、防止対策とともに流出防止体制の確立が重要になる。
  異物は原反に最初から付着することもあるし、加工時に混入することもある。レーヨン紙などの紙類で比較的多いが、一般のフイルムでも油断できない。
  製膜時や押出しラミネート時の焦げカス混入もしばしば発生する。

・フイルムのコロナ処理不良、処理の裏抜け

   PE、CPP、OPPなどのポリオレフィン系フイルムは、コロナ放電処理といって、電極に高電圧をかけて放電させ、フイルムの片面(または両面)に凹凸をつけたり酸化膜を形成させ、印刷やラミネートができるように加工している。この処理が弱い場合は接着(ラミネート)不良、強すぎる場合は酸化臭が発生したり、裏面にまで処理がされてしまいブロッキングなどの事故が発生する。PET、ON、PAN、PSなどほとんどのプラスチックフイルムにも処理がある。どの程度の処理が必要かはフイルムによって異なる。つぎに例を示した。

フイルム

処理度

PE

36 mN/m(dyne/cm)以上

OPP

37

CPP

36

PET(未処理面)

44

PET(処理面)

54

ON (未処理面)

40

ON (処理面)

54

  これらのコロナ放電による処理度は経時的に低下する傾向にあるので、古いフイルムを使用する場合は処理が低下していないか確認してから加工する必要がある。PETやONは処理がなくてもラミネートできるが、強度の向上および安定性の目的で処理が施されている。またOPPやONは両面処理フイルムもある。セロハン、紙類、塩ビ系、PVA系などは処理がなくても印刷、接着は問題がない。

・蒸着フイルムの蒸着ムラ、蒸着強度不良、表面汚染

   PETやCPPなどのアルミ蒸着フイルムは金属光沢を持ち、バリヤー性もよい。しかし、蒸着ムラがあるとバリヤー性にバラツキが生じたり、印刷・ラミネート時に色ムラが生じることがある。また、蒸着時や加工時に蒸着面に縦キズが入ることもあり、回らないローラーがないように注意する必要がある。蒸着膜とフイルムとの接着強度が低いと十分なインキ接着強度、ラミネート強度が得られない。いくら接着のいいインキ、接着剤を使用しても蒸着膜と基材フイルムから剥離する。
  蒸着OPP、蒸着CPP、蒸着OPEなどは蒸着膜が酸化されたり、フイルムの添加物で汚染されやすく、インキや接着剤がくっつきにくくなる。セロメタルや蒸着PETの蒸着面は安定している。
  透明蒸着フイルムについては、蒸着ムラ、キズ、クラックなどが発生しても外観は変わらないので、不良の判別ができない。加工後にバリヤー性のチェックが必要になることもある。

・フイルム臭(樹脂臭)

   ほとんどのフイルムは無臭に近いが、PE系はポリ臭といってロウ臭を感ずることがある。特に押出しラミネートで加工温度が高すぎるときPEが酸化して何とも言えない酸化臭を発することがある。EVA、ポリ塩化ビニルなども臭うときがある。アイオノマーPE、EAA、EMAAなども独特の樹脂臭を出す場合がある。

・外観不良(白化、褐変)

   透明性が問題になるのはPE系シーラントが多い。白っぽくかすんだフイルムもあるので、透明性を確認してから使用する必要がある。
  OPP、CPP、PET、ONなど、ほとんどのフイルムでは透明性にバラツキはないが、古いOPP、CPP、PEなどでは添加剤がブリード(表面析出)して白化しているものもある。このようなフイルムはインキや接着剤の接着も悪くなる。
  KOP、KON、KPETなどのKコートフイルムは光があたると褐変しやすいので、保存に注意してなるべく早く使用することが必要となる。またシリカ系の透明蒸着フイルムでは最初から褐色になっているものもある。

・寸法安定性不良

   自動包装機の中には、カイロ外袋包装機のように、1袋あたり0.05ミリ以下というピッチ精度を要求するものがある。コーヒーミルクなどのミニポーションパックも厳しいピッチ精度が要求される。最新式の、スピードアップを目的とした包装機にこの傾向が強い。OPP系は熱の影響で伸縮しやすいが、PET#12も、熱には強いがテンションの設定によっては伸縮しやすい。このように、正確な寸法を要求される用途では包装設計の段階でのフイルムの選択が成否を決める。

・すべり性不良

 フイルムのすべり性が悪いと、加工時にシワが入る、ピッチが狂うなどの不都合が生じる。一般によく滑るほうが加工適正はよい。
  すべり性の良いフイルムとしては防湿セロハン、PE,CPP、OPPなどである。ON、PVAなどの吸湿性フイルムは高湿度ではすべらなくなる。PETは普通であるが、帯電防止PETにはよくすべるものもある。
   加熱によってすべり性が悪くなるフイルムはPE系シーラントである。ラミネート後のエージングや保管温度に注意する必要がある。
  逆にフイルムがすべりすぎて問題になることもある。印刷時の見当が合わない、フイルムが蛇行する、きれいに巻けない、包装機でピッチが狂う、内容物を噛み込む、店頭で積み重ねができないなどである。

印刷工程で発生するトラブル

・インキの安全性

   グラビアインキ業界では自主規制によってNL(ネガティブリスト)を制定し、安全性が確認されない物質の使用を制限している。着色料も染料タイプは使用していない。食品衛生法では印刷インキと食品とが接触する包装形態は禁止されている。したがって、印刷された単体フイルムで裸の食品を包装する場合は表刷となる。ラミネートフイルムでインキがサンドイッチされている場合は食品衛生法での材質試験、溶出試験に合格していれば食品包装に使用するのに問題はない。

・インキの耐熱性不良、インキとれ

   インキが表面にでている表刷フイルムでは、製袋時や自動包装時に熱や擦れによってインキがシールバーにくっついたり、転移して汚れが発生することがある。対策としては耐熱・耐摩インキの使用、スリップ剤の添加、二液インキの使用などが考えられる。

・残留溶剤

ほとんどの印刷された包装フイルムは有機溶剤で溶解したインキを使用しており、印刷面積が多いものほど印刷物に溶剤が残りやすい。印刷時の溶剤が多く残るとラミネート工程でもさらに残りやすくなる。しかし、加工時に風量・温度を適切に設定すれば問題が生じない程度に少なくすることはできる。
  使用している有機溶剤は酢酸エチル、IPA、トルエンが主体であり、毒性を問題視するほどには残らないが、官能的には問題になる可能性もある。特にトルエンは食品の香気とは縁のない石油臭を発し、少しの量でもクレームにつながるおそれがある。

・印刷不良、印刷汚れ

   インキ飛び、ひげ、ドクタースジ、インキカスレ、トラッピング不良、ツーツー汚れ、雨降り現象、版かぶり、見当不良、色違いなど、グラビア印刷ではまだまだ印刷不良が発生する危険性は数多くある。それぞれに防止策はあるが、完全とは言い難い。発生を抑えることも大切であるが、不良品を外に出さないという管理体制が重要になってくる。

・インキ接着不良

   インキとフイルムの相性が悪い、フイルムの表面状態が悪い、インキの性能が悪いなどの原因でインキとフイルムとの接着強度が出ないこともある。コロナ放電処理の強度、フイルム添加物のブリードなどの影響もある。インキの接着不良をチェックする簡易的な方法は揉み(印刷物を手で軽く揉む)、ひっかき(印刷インキ面を爪で軽く擦る)、テープ(セロテープをインキ面に貼り、強く剥がす)などがあり、簡単にインキがとれるかどうかを検査する。初期の接着性が悪くても徐々に強度がアップする場合もあれば、経時的に強度が低下する場合もある。

・ブロッキング

   フイルムの両面ともにインキが接着しやすい状態にあると、印刷して巻き取ったときにインキの裏写りを起こす場合がある。つまり、印刷面ではない面にインキが付着する現象である。着いてはいけない部分にインキが付着するのでクレームとなる。両面処理フイルム、Kコートフイルムの非コート面に印刷する場合などに生じやすい。巻が硬すぎる場合、エージング温度が高い場合も発生しやすい。

・すべり性不良

   フイルムのすべり性も問題になるが、表刷包装フイルムの印刷面におけるすべり性も加工適性、包装適性に影響する。ひねり包装、共押出しフイルムの自動包装において問題になることもある。インキにスリップ剤を配合する、乾燥を十分にする、すべりのいいインキを選択するなどの対策をとる。

・光電管マーク不良

   光電管マークがかすれていたり、薄い色の場合には読みとれないことがある。製袋時に正確なピッチに狂いが生じたり、包装時に正しいカット位置でカットできず、内容品の上でシールしたりして正常に包装できない危険性がある。

・POSマーク不良

  POSマークのバーがにじんでいたり、かすれていると正確に読みとれなくてエラーになる。バーの方向がフイルムの流れ方向に平行であればにじみやかすれは起こりにくいが流れに逆らった状態の印刷では注意が必要である。また、刷り色は赤系統から離れた色がよい。これは読みとりに赤色レーザーを使用しているために赤系統での印刷では読みとれないのである。黄色などの淡色はもちろん、金銀色なども読みとれないことがある。

ラミネートに起因するトラブル

 ラミネートとは、それぞれ性能の異なるフイルムを貼り合わせて、必要な機能を発揮させる包装フイルムの製造技術である。貼り合わせ方法としては、接着剤によるもの(ドライラミネート)、熱溶融したPEを押し出すもの(押出しラミネート)が主流である。

・ドライラミネートに起因する透明性不良

   バリヤー性の良いフイルム同士をドライラミネートで貼り合わせたとき、気泡ができて透明性が悪くなることがある。ON、PET、OPPなどとシーラントとの組み合わせでは問題ないが、ZX(三井化学アクリロニトリルフイルム)、Kコートフイルム、ビニロン系フイルム、蒸着フイルム、透明蒸着フイルムなどのバリヤー性フイルム同士を貼り合わせるときによく生じる現象である。ONとこれらのバリヤー材との貼合わせでも起こる。
   ドライラミネートの接着剤は主剤と硬化剤とが反応して接着膜を形成するが、このときに二酸化炭素を発生し、バリヤーフイルムでは二酸化炭素を透過させにくいため、二酸化炭素がフイルムに挟まれて残り透明性不良となる。一方でもバリヤー性のないフイルムであれば発生した二酸化炭素は外に抜けるので気泡は残らない。接着剤の種類や湿度によっても程度は違ってくる。ポリエーテル系よりポリエステル系の接着剤を使用した方が、また、加工時の湿度は低い方が気泡は少なくなる。

・カール

   2枚のフイルムを貼合わせるとき、微妙なテンション(張力)の違いによりどちらかにカールするのが一般的である。このカールが強すぎると自動包装機にかかりにくい等の問題が生じる。シーラント側に少しカールするくらいが普通であるが、表面側にカールすると使用しにくい。フイルムが伸縮しやすい、2枚のフイルムで厚みの違いが大きい、どちらかに厚薄がある、片方が吸湿性のあるフイルムであるなどの場合はカールも大きくなる。

  ラミネート時のテンションを調整する、フイルム構成を工夫するなどの対策が必要となる。なお、エンボス加工をしたフイルムはカールしにくいので、アルミ構成のフイルムでよく利用されている。

・異物混入

   ラミネート加工時に外部から混入する場合は、作業所や機械の清掃、異物防止管理を徹底することによって低減できるが、フイルムに最初から混入若しくは付着していた場合、一般には原反をあらかじめ異物検査することは行わないので、加工前に除去するのが難しい。ラミネーターに検査機を取り付けるか、別工程で検査し、外部に流出しないようにすることは可能である。レーヨン紙などの紙類には異物の混入がたまにあり、また、PEのフィッシュアイも異物混入になる。

・ラミネート強度不足

   ラミネート強度が小さいと十分なシール強度が得られないので破袋しやすい。また、開封時にシーラントだけがのびて破りにくいなどの問題が生じる。ラミネート強度が低い原因としてはフイルムの処理度が十分でない、接着剤の選定が間違っている、接着剤の塗布量が少ないなどが考えられる。また、一般にはインキ面のラミネート強度は小さいので、シール部にインキがくる場合は、二液インキを使用する、塗布量を上げるなどの対策が必要である。

・硬化不良

   ドライラミネートの接着剤はポリエステルなどの主剤とイソシアネートの硬化剤を反応させて3次元構造とする。この配合比率や組み合わせを間違えたり、貼り合わせ後反応を促進するために高温(30〜40℃)で1〜7日間エージングするが、このエージングが不足すると反応不十分で耐熱性、シール強度などが十分に得られない。適正な配合と確実なエージングが必要である。また、硬化剤は水と反応するので、溶剤の中に水が混入していると正常に硬化しないこともある。

・残留溶剤

   接着剤は有機溶剤(酢酸エチル)に溶解し、適切な粘度にして塗布する。このとき乾燥が不十分だと有機溶剤が包装フイルムに残って異臭の原因になる。印刷時の残留溶剤が多ければラミネート時の残留溶剤もさらに多くなる。また、フイルムの種類やインキのタイプによっても残留量が違ってくる。乾燥温度を上げ、加工スピードを落とす必要がある。低沸点の溶剤は乾燥温度より風量を多くすることが必要で、沸点が高い溶剤は乾燥温度を上げなければならない。トルエン、キシレンなどの石油系臭気は特に注意が必要である。
  水性インキや水系エマルジョン接着剤が注目されているが、性能的に多くの問題が残っており、また、樹脂臭もあるので、本格的な置き換えは当分期待できない。

・ラミネートの巻じわ

   ドライラミネートでも押出しラミネートでも、紙管際の横方向巻じわが発生しやすく、しばしば問題になる。機械的な巻取条件精度、ラミネート時のテンションコントロール、フイルムのすべり性などの影響で発生する。一度巻じわのついたものはもとには戻らない。

・押出しラミネートの厚薄

   一般には、フイルムになったPEをドライラミネートするよりも押出しコートのほうが厚薄が大きいといわれる。厚薄があるとしわ、カール、巻ズレなどの原因になる。また、加工時には影響がなくても、自動包装時に蛇行、しわ、シール不良などの事故が発生しやすい。厚薄は数パーセントの範囲内であることが望ましい。

・押出しラミネート時の焼けカス混入

   樹脂の焼けカスは、押出機の中で滞留していた樹脂が高温のために褐変し、黒っぽい粒としてフイルムに混入するもので、かなりの頻度で見られる現象である。押出機の管理、検品工程での除去が必要になる。

スリット工程に起因するトラブル

 実際に使用するフイルム巾で加工したのでは効率が悪いので広巾で加工し、最後に指定した巾にスリットする工程がスリッターである。たとえば、包装機では300mm巾で使用する場合、印刷、ラミネートでは900mm(+耳部)の同じ柄3丁付けで加工し、これを300mmにスリットすれば1回の加工で3巻の巻取ができあがることになる。スリッター工程での不良も数多くあるが、一般的なものを取り上げた。

・スリット位置不良

   印刷物で、広巾巻取の状態が悪く、断面がきれいにそろっていなくても、スリッター機では、あらかじめ印刷されたスリッター線を検知しながら、所定の位置をスリットできるようになっている。機械の調整不良、印刷不良などが原因でスリッター位置が蛇行することがある。また、フイルムの幅方向の伸縮によってもスリット位置がずれることもある。この現象が生じると、巻取全体の幅はカッターが動かない限り一定であるが、包装時点でデザインが所定の位置にこないという不良が生じることになる。指示ミスや紛らわしいデザインなどでスリット位置を間違えることもある。

・紙管つぶれ

   ブレーキを強くして巻き取るときれいに仕上がるが、あとで巻締まりが起こって紙管がつぶれることがある。また、フイルムに厚薄があると厚い部分はきつく巻き取ることになり、同様に紙管がつぶれる。このような危険があるときにはすぐに巻直しすれば解消する。運搬中に巻取を落下させると紙管がつぶれることもあるが、紙管止めを付けておけば衝撃による紙管つぶれは防止できる。

・紙管ずれ

   スリッター後、フイルムの部分は正常でも紙管だけがゆるむときがある。機械の調整不良が原因の時も多いが、紙管の乾燥による収縮で生じるときもある。テンションをコントロールし、やや硬い目に巻いておく必要がある。

・スリット時のしわ混入

 CPPのように柔らかくてすべりやすいフイルムはテンション調節の不具合、フイルムの厚薄、広巾の巻ズレなどの影響で部分的にしわが入ることがある。ブレーキの調整で回避できることも多いが、最終工程での不良発生なので、確実に除去することが必要である。

・巻断面不良

   巻がゆるい場合、持ち運びするときに途中からずれたりして、断面がガタガタになり、段差ができることがある。時には巻の途中からすっぽ抜けたりする。包装機によっては許容ズレ幅が非常に小さいこともあり、巻断面はきれいにこしたことはない。大きな段差ができてしまったときには巻直しする必要がある。

・巻方向不良

   包装機の光電管装置の位置によって、巻取の頭出し、尻出し方向を指定されるときが多い。つまり、印刷巻取では柄の巻取方向が決められることが多い。光電管マークが巻取の左右両方に着いている場合はどちらの方向でも使用できることが多いが、包装機の制約をよく調べてから巻取仕様を決めなければならない。スリットしてしまってから間違いに気づいたのでは、巻直しに大変な労力を費やすことになる。

・巻面逆巻

   フイルムメーカーでは印刷等のための加工面を内側にして納入することが多い。これを印刷し、インキ面を内側で巻き取る。さらにラミネートでもスリットでもシール層を内側にして巻取る。これが一般的な加工である。もし、シール層が表面になっている場合、包装機にかからないことも多い。「シールができない」と大騒ぎになる。表裏のわかりにくいデザインや無地のフイルムで起こることがある。OPP/CPP共押出しフイルム単体使用の場合は、フイルムメーカーから表シール面で納入されるので、そのままシール層を表にしてスリットする危険性がある。

・継ぎ方法不良

  巻取のm数が決められている場合には継ぎ足して一定長さにする。継ぎのための粘着テープの種類、色、継ぎ方法、継ぎ位置などは包装時の仕様に合わせて決められる。これが間違っていると、継目で包装が中断したり、継目が製品に混入したりする。あらかじめ詳細に取り決めておく必要がある。

製袋に起因するトラブル

 自動包装機が普及し、巻取での納入が多くなったが、三方シール袋、合掌袋、ガゼット袋、スタンドパックなど、製袋での納品もまだまだ多い。ほとんどが給袋式自動包装機によって使用される。

・口封じ

   一般の製袋機では流れ方向のシール(合掌袋では背中シール)をしてからカットシール(頭または底シール)をし、カットシール前または後のシールしていないところをカットして袋とする。このとき、シールされたその上をカットした場合、袋は上下ともに密封シールされた状態になる。これを口封じと呼ぶ。フイルムのすべり性が悪い、フイルムに腰がない、光電管マークをうまくとらえない等の時に発生しやすい。

・シール不良

   フイルムによって適正なシール温度は異なり、各フイルムに応じて機械の設定温度を変える必要がある。シール温度が高すぎると収縮したりエッジ切れを起こしやすくなる。設定温度が低すぎると熱接着されていないところができてシール不良となる。シールされているように見えてもシーラント同士で剥離する場合は危険である。じわっと剥がれたり、ボイルやホット充填等の加熱で剥離することがある。ガス充填、脱酸素剤封入包装、液体包装など完全密封が要求される包装形態では完璧を要求される。印刷されている表基材とシールのためのシーラントフイルムとの耐熱温度の差が大きいほどシールがしやすく、出来上がりもきれいである。

・エッジ切れ

   シール温度が高すぎるとシールの内側エッジで切れやすくなる。また、シール強度は高くても衝撃で簡単に破裂する状態になる。シール温度、シール圧力、シール時間を調整しながら適正シール条件でシールすることが必要である。材質構成の変更が必要になる場合もある。OPP/CPPの構成で起こりやすい。

・シール部波うち

   OPP系フイルムは熱収縮しやすいのでシール温度の管理には注意を払わなければならない。波うちがあると給袋式包装機にかかりにくいことがある。また、袋の外観も悪くなる。ベースフイルムとシーラントとの温度差を大きくするときれいに仕上がりやすい。製袋条件としてはスピードを上げずに低い温度で加工する必要がある。

・製袋時のキズ発生

  特にガゼット袋の場合、折り加工しながらフイルムを引っぱるので、PEカス、パウダー、異物などによって擦られて、フイルム内面に縦方向のすりキズが発生することがある。内面が柔らかいPEの場合に生じやすい。製袋機の摩擦面の清掃頻度を上げたり、シーラントをPP系に変えるなどの対策が有効である。

その他の製造工程に起因するトラブル

 上記で述べた工程以外にも、包装フイルムの加工工程は数多くある。

・パスター加工時の不良

   アルミ蒸着フイルムの蒸着面に印刷したフイルムを酸又はアリカリ(カセイソーダによるアルカリ処理が多い)の溶液の中を通すと、印刷部分の蒸着膜はインキで保護されるが、印刷されていない部分の蒸着膜は溶かされて透明になる。つまり、蒸着(印刷)フイルムに透明部分ができる。これを水洗・乾燥する工程がパスター加工である。しかし、アリカリ処理または水洗の時に印刷部分が剥がれ落ち、とれてはいけない部分で蒸着膜がなくなるときがある。細い線、半調部分などで起こりやすい。インキ選定不良、版深度不足、インキの乾燥不良などが原因である。細い線は縦方向のほうが有利である。インキはパスター加工に強いものを選定し、乾燥は十分に行う。

・ワックスラミネートの不良

   少なくなったとはいっても、ひねり包装ではワックスによるストライブ貼りはまだ健在である。一般にはセロハンにアルミ箔のセンター貼りが多い。
  ワックスによるラミネートは強度が低く、熱によって、あるいは経時的にもラミ浮きが発生しやすい。また、塗布量が少ないと剥離し塗布量が多すぎるとブロッキングする。

・断裁時不良

   断裁とは巻取状のフイルムを平板にした後、厚みによって異なるが、数百枚以上の単位で重ねたものを一定の寸法にカットする工程をいう。このとき、フイルムのすべり性が良すぎても悪くても寸法にズレが生じやすい。位置がずれてカットしてしまったものはもとには戻せない。



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